アクトMTメルマガ207号:令和を楽しむ <えっ、私が?>
前号では、10月度のマンションの役員会で、12月に開催するクリスマス会の企画の検討が行われました。クリスマスコンサートとして、皆でクリスマスソングを歌い、グループによる演奏を募集すること。さらに、イルミネーションの飾りつけを行うことが決まりました。次に一夫が提案を発表します。ところが・・・。
**** アクトMTメルマガ207号 ****
我々、昭和世代は、激動の中に育ち、平成を必死に働いてきた。
そして今、令和は、自分のために、自分自身の人生を楽しむ時代だ。
■令和を楽しむ <えっ、私が?>
「私も一つ提案したいと思うんですが、プレゼント交換会はどうでしょうか。一人1個のプレゼントを出し合って、ビンゴで当たった人から順番で一つずつもらえるんです。」
一夫が提案を発表すると、川上パパが賛成した。
「いいですね。クリスマスだから、プレゼント交換会も良いと思います。ビンゴも盛り上がって、楽しいですよね。もちろん、プレゼントを渡すのはサンタさんですよね。」
そして、沙織ちゃんも川上パパのサンタクロースの案に賛成して言った。
「それ、いいですね。サンタさんからプレゼントをもらったら、子供たちは大喜びですね。私、賛成です。」
ところが、黒田長老は、いつもの慎重な言い回しで言った。
「ええ?でも、サンタクロースなんて、やってくれる人がいますかね。」
するとそれを待っていたかのように、即座に春日の奥様が言った。
「サンタクロースは、当然、会長さんがやるべきですよ。ねえ、会長さん。」
「えっ。私がサンタクロースですか。」
一夫は、『いったい、何を言い出すんだ』と思って驚いた。
「そうですね。いいですね。会長さんのサンタクロースに、私も賛成です。」
川上パパが賛成すると、続けて黒田長老が言った。
「じゃあ、サンタクロースは、会長で決まりですね。」
一夫は自分からは『できない』と言えず、何と応えようかと焦っている間に、あっさりと一夫がサンタクロース役でプレゼントを渡すことが決まってしまった。
このショックで、一夫はそれまで頑張ってニコニコ顔を作ってきたことをすっかり忘れてしまった。口角も眉毛も下がり、これまでの表情のない顔を通り越し、困惑した顔になってしまった。
こうして、クリスマス会の企画として、コンサート、イルミネーション、プレゼント交換会が決まった。さらにマンションの掲示板に貼る参加者募集のポスターを作ることになり、これは夏祭りのときと同じように春日の奥様の旦那様にお願いすることとなった。
この日の役員会が終わった。一夫は複雑な気持ちだった。クリスマス会の企画が無事に決まったことは良かったが、黒田長老が言っていたように、本当に参加する人が集まるか心配だった。
さらに、もっと心配なことが、自分がサンタクロース役に決まったことだ。当然だが、これまでにサンタクロース役などやったことがない。
それに加えてもっとも一夫を悩ませていることが、子供を相手にすることだ。まったく自信がない。これまでに自分の子供に対しても、そんなことをしたことがなかったのだ。一夫は、プレゼント交換なんて提案するんじゃなかったと悔やんだ。
やはり、春日の奥様は、一夫にとって天敵なのかも分からない。今回もまた『サンタクロースは、当然、会長さんがやるべきですよね』という春日の奥様の一言が、一夫を悩ませることになった。一夫は憂鬱な思いを抱えながら、自宅に向かうエレベータに乗り込んだ。
家に戻ると、子供たちもすでに帰宅していて全員が揃っていた。
「ほっ。ただいま。」
一夫の浮かない声に、妻の良子が気が付いた。
「あら、お帰りなさい。お父さん。どうかしたんですか。」
次回に続く。
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我々、昭和世代は、激動の中に育ち、平成を必死に働いてきた。
そして今、令和は、自分のために、自分自身の人生を楽しむ時代だ。
■令和を楽しむ <えっ、私が?>
「私も一つ提案したいと思うんですが、プレゼント交換会はどうでしょうか。一人1個のプレゼントを出し合って、ビンゴで当たった人から順番で一つずつもらえるんです。」
一夫が提案を発表すると、川上パパが賛成した。
「いいですね。クリスマスだから、プレゼント交換会も良いと思います。ビンゴも盛り上がって、楽しいですよね。もちろん、プレゼントを渡すのはサンタさんですよね。」
そして、沙織ちゃんも川上パパのサンタクロースの案に賛成して言った。
「それ、いいですね。サンタさんからプレゼントをもらったら、子供たちは大喜びですね。私、賛成です。」
ところが、黒田長老は、いつもの慎重な言い回しで言った。
「ええ?でも、サンタクロースなんて、やってくれる人がいますかね。」
するとそれを待っていたかのように、即座に春日の奥様が言った。
「サンタクロースは、当然、会長さんがやるべきですよ。ねえ、会長さん。」
「えっ。私がサンタクロースですか。」
一夫は、『いったい、何を言い出すんだ』と思って驚いた。
「そうですね。いいですね。会長さんのサンタクロースに、私も賛成です。」
川上パパが賛成すると、続けて黒田長老が言った。
「じゃあ、サンタクロースは、会長で決まりですね。」
一夫は自分からは『できない』と言えず、何と応えようかと焦っている間に、あっさりと一夫がサンタクロース役でプレゼントを渡すことが決まってしまった。
このショックで、一夫はそれまで頑張ってニコニコ顔を作ってきたことをすっかり忘れてしまった。口角も眉毛も下がり、これまでの表情のない顔を通り越し、困惑した顔になってしまった。
こうして、クリスマス会の企画として、コンサート、イルミネーション、プレゼント交換会が決まった。さらにマンションの掲示板に貼る参加者募集のポスターを作ることになり、これは夏祭りのときと同じように春日の奥様の旦那様にお願いすることとなった。
この日の役員会が終わった。一夫は複雑な気持ちだった。クリスマス会の企画が無事に決まったことは良かったが、黒田長老が言っていたように、本当に参加する人が集まるか心配だった。
さらに、もっと心配なことが、自分がサンタクロース役に決まったことだ。当然だが、これまでにサンタクロース役などやったことがない。
それに加えてもっとも一夫を悩ませていることが、子供を相手にすることだ。まったく自信がない。これまでに自分の子供に対しても、そんなことをしたことがなかったのだ。一夫は、プレゼント交換なんて提案するんじゃなかったと悔やんだ。
やはり、春日の奥様は、一夫にとって天敵なのかも分からない。今回もまた『サンタクロースは、当然、会長さんがやるべきですよね』という春日の奥様の一言が、一夫を悩ませることになった。一夫は憂鬱な思いを抱えながら、自宅に向かうエレベータに乗り込んだ。
家に戻ると、子供たちもすでに帰宅していて全員が揃っていた。
「ほっ。ただいま。」
一夫の浮かない声に、妻の良子が気が付いた。
「あら、お帰りなさい。お父さん。どうかしたんですか。」
次回に続く。
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